1990年代以降、複数の自閉症者たちによって産み出された「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という概念は、マジョリティ向けの社会への一方向的な適応を強いる個人モデル的なパラダイムを批判する自己権利擁護運動の文脈のなかで誕生したが、近年、この言葉が異能人材(Human Resource)を表象するものとして使用されることが増え、その背景にあった人権(Human Rights)の視点が後景に退きがちである。
本シンポジウムでは、フィンランド、オランダ、韓国、チリ、日本のニューロダイバーシティ運動や参加型自閉症研究/自閉症当事者研究の実践家によって、ニューロダイバーシティという言葉が生まれた背景と、その後の運動や研究の展開を概観した。その後、日本の福祉、建築・都市計画、教育、企業、医療といったさまざまな領域において、ニューロダイバーシティの概念がどのように受容され、実践されているかについて紹介された。
医療モデル・個人モデルから社会モデルへと社会変革していく際の文化的・構造的な課題、それらを乗り越えるための共同創造による研究や実践について、紹介され、今後取り組むべき課題について、議論が行われた。
使用言語:日本語(手話・文字による情報保障)・英語・韓国語
- 14:00-14:05
- 開会の挨拶 笠井 清登(東京大学大学院医学系研究科)
第一部:当事者からみるニューロダイバーシティ
- 14:05-14:25
- EUCAPおよびGATFARにおける神経多様性、障害、および自閉症に関する議論
Heta Pukki(European Council of Autistic People) - 14:25-14:45
- ニューロダイバーシティの起源とオートスケープ
Martijn Dekker(Autscape Organisation) - 14:45-15:05
- 日本の自閉症者による当事者研究実践の紹介
綾屋 紗月(東京大学先端科学技術研究センター/おとえもじて) - 15:05-15:25
- 東アジア自閉症者の権利とニューロダイバーシティの実践:ウェブカルチャーというメディアを使って
尹 恩鎬(estas, Adult Autistic Self-Advocacy Meeting) - 15:25-15:45
- チリ流の自閉症:自閉症者が神経多様性の可視化をどのように促進するか
Francisco Pizarro Olivares(チリカトリック大学インクルーシブ技術開発センター)
第二部:日本におけるニューロダイバーシティの受容
- 15:55-16:10
- 日本の発達障害者支援現場でのニューロ・ダイバーシティの受け止め
日詰 正文(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 研究部/一般社団法人日本発達障害ネットワーク) - 16:10-16:25
- 空港利用にみる発達障害者などの不安と安心の所在
丹羽 菜生(中央大学研究開発機構) - 16:25-16:40
- 日本の教育におけるニューロダイバーシティの受容~
「インクルーシブ教育」の実現に向けた議論の現在地~
竹内 健太(参議院文教科学委員会調査室) - 16:40-16:55
- 発達障害のある社員の採用、定着、活躍
安井 直子(三井化学株式会社人事部DE&Iグループ) - 16:55-17:10
- 日本のニューロダイバーシティー、自閉症支援からみる違和感
内山 登紀夫(福島学院大学/よこはま発達クリニック/親と子のサポートセンターふくしま)
第三部:パネルディスカッション
- 17:20-17:55
- パネルディスカッション
- 17:55-18:00
- 閉会の挨拶 伊藤 たかね(東京大学多様性包摂共創センター)
東京都医学総合研究所において国際シンポジウムを実施した。英米の2か国から5名の先生をお招きし、見えにくい社会構造を突き止める研究や、それを介入に活かす研究について伺った。
Marcus Richard先生はlife course
epidemiologyの知見から、認知症予防や認知機能の維持には、学校になるべく留まれるようにする介入が役立つことを紹介した。
Vikram Patel先生は低・中所得国の介入研究で、母親が養育スキルを他の母親から学ぶグループ学習が、子どもの発達に寄与していることを示した。
Tanya Luhmann先生は人類学の視点から、幻聴には文化の影響が大きいことを具体例を交えて紹介し、「声」は必ずしも病的ではないことに注意喚起した。
Deidre
Anglin先生によると、米国では民族マイノリティにおいて産科合併症が高いこと、警察・銃暴力にさらされやすいことから、個人レベルでも地域レベルでもpsychosisのリスクが上昇している。逆に、住んでいる地域でマイノリティの民族密度が高いことは、脳画像的な変化が起こりにくいなど保護的であることを紹介した。
Stephani Hatch先生は、英国National Health
Serviceで働くマイノリティに差別体験の調査を行い、成果を迅速に政策提言につなげている。VRと質的研究を組み合わせて、マイノリティの立場を改善する研究に役立てている。
国内からは、A02班・西田先生が東京ティーンコホートの予備的解析を紹介した。社会的リスク因子に晒されるとbiological
agingが加速されるという仮説の下、トラウマや保護的環境の客観的指標として網膜の菲薄化を評価している。
いずれも、マイノリティが置かれてきた文化的な要因を突き止め、社会を共同創造的なものに変革する礎となる研究であった。世界の精神保健研究は、精神病理を個人の問題と捉えて介入する従来の医学モデルから、障害の社会モデルへ移行してきていることから、より一層国際連携を深めていきたい。
本領域A03計画研究分担者の北中淳子博士とシカゴ大学Zhiying Ma先生との共催で、医療社会科学分野の若手研究者への論文執筆・出版に関するワークショップをシカゴ大香港校で行いました。アジアから28名の応募があり、書類選考を経て、中国・韓国・シンガポール・インド・日本から14名の若手を香港に招待し、ジャーナルや本の編集でも広く活躍するシニアスカラーが論文指導を行いました。
ワークショップは風光明媚な香港島キャンパスで行われ、指導者には、医療社会科学の世界的権威であるニコラス・ローズ先生(zoom)や、アメリカ内科学会賞も受賞された著名な医学史家ジェレミー・グリーン先生をはじめ、この領域の中心的な学者が集まり、3日間にわたって熱意のこもった指導を行ってくれました。1人の若手論文につき、合計4人(若手2人、シニア2人)が事前に読み、現地で直接指導を受ける体制で臨み、研究全般や本の出版、キャリア形成についても活発な議論となりました。二日目には香港大学精神科を訪問し、アジアにおけるメンタルヘルスについて香港の医師たちとの有意義なディスカッションが行われました。
ワークショップ後の感想からも、一流の学者達と知り合い、極めて質の高い指導が受けられたことの喜びや、医療社会科学というグローバル・コミュニティの一員としてのアイデンティティが生れたこと、人生の転機となったといった感激の言葉が全員から寄せられ、参加者にとっても極めて充実した三日間であったことが感じられました。これが一つの契機となってアジアの医療社会科学研究がますます盛り上がることを願っています。(北中淳子)
フロアと、現地参加講師全員とのディスカッション
シカゴ大学香港校の美しいキャンパス(キャンパスツアーで歴史的建造物の説明を受けました)
香港大学精神科のSherry Chan 先生とKrystal Lee先生に社会的・政治的にも過渡期を迎えている香港における若者のメンタルヘルスの問題や、草の根でのアンチスティグマ運動の成果についてのご講演をいただき、活発なディスカッションの後、病棟にもご案内いただきました
Program
Day 1 – January 18 (Thursday)
- 1:30pm – 2:30pm:
- Opening Remarks
Junko Kitanaka and Zhiying Ma, Social Studies of Medicine in Asia
Flash Introductions by everyone
- 2:30pm – 4:00pm
- Demystifying the Publication Process1 : Where to Publish
Jeremy Greene, Johns Hopkins University, “Publishing in Social Sciences vs Clinical Sciences”
Michele Friedner, The University of Chicago, “Where to Publish: So Many Options?!”
Nikolas Rose, Australian National University, “The Role of Publications in Supporting New Intellectual Communities”
- 4:15pm – 5:55pm
- 1st Small-group intensive feedback session on works in progress
Day 2 – January 19 (Friday)
- 10:30am – 11:45am
- Demystifying the Publication Process 2: Genres of Writing
Clara Han, Johns Hopkins University, “Book Publishing”
Eugene Raikhel, The University of Chicago, “Open Access Writing”
- 1:00pm – 2:40pm
- 2nd reviewer Small-group intensive feedback session on works in progress
- 2:40pm – 2:55pm
- Reflections on Day 2
- 3:00 pm
- Depart UC campus to the University of Hong Kong
- 3:30pm – 5:30pm
- Visit to the Department of Psychiatry at the University of Hong Kong
Day 3 – January 20 (Saturday)
- 10:00am – 11:15am
- Demystifying the Publication Process 3: Asia as Methods
Wen-Hua Kuo, National, Yang-Ming University, Writing from East Asia
Claire Edington, The University of California San Diego, Writing about South East Asia - 11:15am – 11:45am
- Group Discussion: Planning Next Steps
- 11:45am – 12:00pm
- Reflections on Day 3
■Presenters:
Zdenka Pausova
Professor, Department of Physiology, University of Toronto
Tomas Paus
Professor, Department of Psychiatry and Addictology,
University of Montreal
Shinsuke Koike A03公募班員
Sho Yagishita B02計画研究代表者
Akito Uno A03研究協力者
Daiki Nagaoka A03研究協力者
Yusuke Takahashi A03研究協力者
2023年11月2日にInternational Symposium & Lectures on Population Neuroscienceと題して、トロント大学のZdenka Pausova先生とモントリオール大学のTomas Paus先生を招へいしたシンポジウムを企画し、領域内外からも多数の研究者が参加いたしました。Paus先生ご夫妻は、早くから本領域で目指している大集団科学と脳行動科学の融合を目指し、"Population Neuroscience"という言葉を世界で初めて使い、確立してきたパイオニア的な研究者です。
午前中はYoung scientist’s population science and neuroscience sessionと題して、A02班とA03班の連携により若者における当事者化の行動科学的な定式化と脳科学との融合を試みている三名の研究者(宇野・長岡・高橋)から発表がありました。コホート研究の背景をお持ちのPaus先生、Pausova先生からは、各発表に対して大集団科学の見地から温かく教育的なご指摘をいただきました。
午後は、日本における当事者化脳基盤のtranslational researchの現状について、A03東京大学こころの多様性と適応の統合的研究機構 准教授の小池進介先生、B02計画研究代表者疾患生命工学センター 構造生理学 講師の柳下祥先生からのご講演があり、MRI研究及びドーパミンに関する生物学的研究に関して熱心な議論が交わされました。
その後、Paus先生およびPausova先生からのご講演がありました。 Zdenka Pausova先生からはBrain Health and Obesity: From Adolescence to Adulthoodと題して、認知症と血管加齢との関わりの社会的課題を背景とした、脳加齢の身体的基盤に関する代謝・生化学から画像研究までのtranslational researchのご説明がありました。 Tomas Paus先生からはPopulation Neuroscience of Maturing Brainと題して、現在展開されている遺伝子・細胞レベルから画像・行動レベルまでの大集団を対象にしたマルチオミクス研究について知見を共有いただきました。
お二人共、リアルワールドの大集団を対象とし、ひとりひとりの人間が胎児の段階から小児期・思春期を過ごし、歳を重ねて高齢になるまでの脳発達および行動の変化について、遺伝子、代謝産物、脳画像、行動までを繋げる大集団科学的な研究の展開をご発表いただき、人間行動科学の変革を目指す本領域全体に関わる多大な示唆を頂戴しました。
■Speakers
Ian Kelleher
University of Edinburgh, UK
Bleuler Revisited: Psychosis and the Suicidal Drive
Syudo Yamasaki
Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
Prospective relationship between psychotic experiences
and self-injurious behaviour among adolescents:
Findings from the Tokyo TEEN Cohort Study
Jordan DeVylder
Fordham University, USA
Marginalization and Suicidal Behavior among Youth with Psychotic
Experiences: Epidemiological Evidence and Novel Interventions
Mitsuhiro Miyashita
Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
Origins of Impaired Physical Health
in Psychosis via Social Stress - Tokyo TEEN Cohort Study
Craig Morgan
King's College London, UK
Shifting Sands: Trends in Our Understandings of Psychoses
イングランドよりメンタルヘルスに対する社会や文化の影響に関して国際的な指導者である Craig Morgan 先生、スコットランドよりChild and Adolescent Mental Health Service (CAMHS)をはじめ小児・思春期における包括的な取り組みを行われている Ian Kelleher先生、アメリカよりメンタルヘルスの社会的決定因に関する研究やソーシャルワークを中心とした自殺予防プログラムに取り組まれているJordan DeVylder先生をお迎えし、シンポジウムを開催しました。諸外国における思春期のメンタルヘルスに関する最新の取り組みに触れるとともに、個体-世界相互作用のなかで psychosis や suicide が論じられ、旧来の医学モデル的な発想が刷新されるような議論が交わされました。日本における思春期のメンタルヘルスに関する今後の実践を考えていくうえでも、学ぶ点の多い会になりました。
精神保健領域における当事者活動は、欧米のみならず現在アジア全域で活性化しています。そこであらためて、従来の、専門家/西洋の知識が偏重され、当事者や家族の経験が軽視されてきた歴史的状況が問われ直しています。本ワークショップでは、精神科領域におけるアジアの当事者研究者、医師、人類学者、歴史家がハイブリッドで集まり、各国における当事者活動の歴史を振り返ることで、どのように当事者・家族・専門家の共同創造(coproduction)が可能になるのかについて議論しました。中国、ベトナム、インドネシア、台湾、シンガポール、カンボジアでの当事者運動や、ヴィジュアル・アートを用いて「生きられた経験」を伝えていく方法、さらにグローバルメンタルヘルスを当事者とともにクリティカルに振り返る国際的試みが報告されました。日本からも、当事者研究の最新の動向や、東大病院でのピアスタッフの導入、さらには日本精神神経学会におけるパラダイム・シフト調査班での当事者学が論じられ、アジア・豪州・欧米から90人ほどのzoom 参加者と活発な議論が展開されました。日本語通訳・英語字幕・手話対応と障害をもった方々への情報保障も採り入れられ、アジアで起こっている新たな草の根の動きを今後どう発展させていくのかについて、皆で考えるための貴重な場となりました。
Decolonizing Mental Health in Asia
Workshop on December
19(US)/20(ASIA), 2022
Time: 1:00 -4:15 PM Tokyo (9:00 PM-12:15 AM in San Diego on Dec. 19: please see below for
different time zones)
This workshop will bring together a group of scholars working on mental health care, both
historically and today, in the Asia-Pacific region. Specifically, our group is interested in
upending hierarchies which privilege expert (and Western) knowledge over the experience and
agency of patients and their families. Drawing on notions of co-production, we seek to develop
new research frameworks which provide a space for self-reflection among the users of mental
health care, carers, and mental health professionals, and which envision new, dynamic forms of
collaboration between users, practitioners and researchers. A closer association between users,
carers, and mental health professionals will enable the latter to formulate interventions that
are more culturally appropriate. In particular, we will attend to the language and cognitive
frameworks with which these various stakeholders have come to intimately understand themselves
and others, and how these frameworks also developed out of the transnational, cross-cultural
circulations of knowledges and practices. (Note: English captions will be provided.)
- 1:00-1:05
- Shin-ichiro Kumagaya, Satsuki Ayaya (Tokyo University, Japan) & Junko Kitanaka (Keio
University, Japan)
Opening remarks - 1:05-1:15
- Claire Edington (University of California-San Diego, US) & Hans Pols (University of Sydney,
Australia)
Introduction Perspectives on user movements across Asia - 1:15-1:25
- China, Zhiying Ma (University of Chicago, US)
Survivors, users, or peers? Emerging identities in the mental health field of contemporary China - 1:25-1:35
- Vietnam, Allen Tran (Bucknell University, US)
Talk/therapy: Cognitive behavioral therapy in Ho Chi Minh City, Vietnam - 1:35-1:45
- Indonesia, Anto Sg (Agus Sugianto, Indonesia).
User movements, erasing stigma and implementing human rights in mental health care in Indonesia - 1:45-1:55
- Taiwan, Harry Wu (National Cheng Kung University, Taiwan)
A "southbound" psychiatry: Constructing mental illness in Taiwan through numbers and fieldworks - 1:55-2:05
- Singapore, Li Shan Chan (University of Hawaii, US)
The short history of peer movements in Singapore - 2:05-2:15
- Cambodia, Sovady Bora & M NGIN Ratanakromanea (University of Health Sciences, Phnom Penh,
Cambodia)
Psychiatry in Cambodia: The revival - 2:25-2:35
- Japan, Yumi Kim (Johns Hopkins University, US)
Kinship and care in histories of mental illness in Japan - 2:35-2:45
- Japan, Shin-ichiro Kumagaya & Satsuki Ayaya (Tokyo University, Japan)
Tojisha-kenkyu in Japan - 2:45-2:55
- Japan, Kiyoto Kasai (Chair of Psychiatry, Tokyo University, Japan)
Tojisha-oriented psychiatry in Japan - 3:05-3:15
- Erminia Colucci (Middlesex University, UK)
Collaborative and participatory visual methodologies in mental health research - 3:15-3:25
- Dörte Bemme (King’s College London, UK)
Mutuality as a method: Decolonizing knowledge, relations and resources in global mental health - 3:25-3:35
- Shigenobu Kanba (former President of the Japanese Psychiatric Association, Japan)
Commentary - 3:35-3:45
- Claire Edington, Hans Pols, Shin-ichiro Kumagaya, Ayaya Satsuki & Junko Kitanaka
Future directions - 3:45-4:15
- General discussion
International Symposium~Interactions between an individual and real world: research on nutrition~
オーストラリアから、栄養や若者の研究への参画について牽引されているDr. Molly O‘Sullivan, Dr. Surabhi
Dogra, Dr. Sophie
Healy-Thowをお迎えし、シンポジウムを開催しました。思春期・若者に関する栄養の調査研究・介入研究の必要性と、意義ある研究・研究結果の実装のために若者の研究への関与、そのための有効なコミュニケーションについて、ご講演いただきました。本領域で行われている栄養や若者参加の研究についてミニレクチャーの後に、活発なディスカッションが行われました。
Lecture
Molly O’Sullivan, Murdoch Children’s Research Institute (MCRI), Centre for Adolescent
Health
The engagement of young people in research
Surabhi Dogra, Public Health Foundation of India, Centre for Environmental Health and Centre for
Chronic Disease Control
Nothing about us without us - Perspectives from a Youth Commissioner of the Lancet Commission on
Adolescent Health and Wellbeing
Sophie Healy-Thow, Global Alliance for Improved Nutrition (GAIN)
A Journey Towards Youth being at the Centre of the Food Revolution
Mini lecture and Discussions of collaborative research
Dr. Yuko Nakamura, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo.
Brain responses to food reward.
Dr. Syudo Yamasaki, Research Center for Social Science & Medicine, Tokyo Metropolitan Institute
of Medical Science.
Adolescent mental health and nutrition: a population-based cohort study in Tokyo
BESETO International Psychiatry Conference 2022
北京大学・ソウル大学・東京大学合同の国際会議 BESETO International Psychiatry
Conferenceが開催されました。本領域からは、熊谷晋一郎からIntroduction to Tojisha-kenkyu in
Japanというタイトルで当事者研究について紹介しました。
The BESETO International Psychiatry Conference is an international conference held every
year jointly by the psychiatric departments at Seoul National University, Peking
University, and the University of Tokyo. This year the conference is hosted by the
Department of Neuropsychiatry, the University of Tokyo, in collaboration with the Human
behavioral science for subjectification ("tojisha-ka") : interaction-based &
rule-/story-based understanding of the brain & the world.
■Presenters:
Quynh Doan, PhD, MHSc, MDCM, FRCPC
Director, Clinical Research, BC Children’s Hospital
Investigator and Pediatric Emergency Physician, BC Children's Hospital
Associate Professor, Department of Pediatrics, Faculty of Medicine, University of British
Columbia
Tyler Black, BSc, MD, FRCPC
Child and Adolescent Psychiatrist, BC Children's Hospital
Clinical Assistant Professor, Department of Psychiatry, Faculty of Medicine, University of
British Columbia
小児救急精神医療 - カナダでのアプローチ -と題して、カナダのBC Children's Hospital小児精神科医のTyler Black先生と救急医のQuynh
Doan先生にご講演いただきました。
Doan先生からはプライマリケアの提供者が救急外来で使用できる心理社会的なアセスメントオンラインツールの開発と効果検証について、Black先生からは、小児精神救急の緊迫した状況におけるアプローチ方法などについてご講演いただきました。お子さんの安全を確保しつつ、どのようにしたら本人が感じる恐怖等のトラウマ、時間的拘束などの負担を最小限にすることができるかを追求する姿勢に、フロアからは様々な質問が寄せられ、先生方の温かい姿勢に我々も大変感銘を受けました。
都市化とメンタルヘルスや精神的健康の社会的決定要因などの領域でご高名なJordan DeVylder先生をお迎えし、ご講演いただきました。本領域で行われているメンタルヘルスの地域差やジェンダー間の差に関する研究について話題提供した後に、都市環境の社会的、物理的要素や都市化とメンタルヘルスの関連性と、そのメカニズムなどについて包括的、系統的にご講演をいただき、活発なディスカッションが行われました。
日時 2024年3月24日(日)10:00-17:00
形式 対面(京都)
① 開会の挨拶・領域会議趣旨説明 笠井清登先生
② 計画班・ 公募班ポスター発表
③ グループワーク準備レクチャー(綾屋紗月先生、熊谷晋一郎先生)
④ グループワーク 「共同創造に向けた当事者からの研究提案についての議論」
⑤ 活動報告・告知・領域評価の先生や学術調査官の先生・領域代表から一言
⑥ 雑談会(自由解散)
本領域会議では、①各研究者の進捗報告(ポスター発表)、②ご講演、③グループワークが行われた。
①進捗報告では、研究対象と同じ背景をもつ研究者にとって、「ポスター発表の中に研究対象を非人間的に扱う表現が含まれていると、いたたまれない気持ちになる」という課題が挙げられ、共同創造における国際的な課題として共有された。
今後は、社会モデルで自身の研究を再考察していただくなど、共同創造を進めていくための課題が見出された。
②ご講演として、綾屋先生、熊谷先生から、共同創造の取り組みとして、
領域会議に先立ち、2023年12月に行われた当事者のNPOグループであるDPI日本会議の方々との座談会の様子の説明とアカデミック・エイブリズムに関する説明をいただいた。③上述の座談会で挙げられた「今後取り組めることが望ましい5つの研究課題(•
歴史 • 障害者就労 • 基礎科学 • 政策/組織変革 • 科学技術社会論)についてグループに分かれて議論を行った。
日時 2023年7月30日(日)10:00-17:00
形式 対面
各計画・公募研究の進捗についてポスター発表・議論を行いました。研究者の当事者化や、当事者の方々との共同研究の推進のために、講演「わかりやすさとは何か:共同創造に向けて」にて、共同創造の経験をもとに「わかりにくさ」の種類について、お話がありました。それらを踏まえて、異分野の専門家同士の議論を可視化するワークを行い、共同創造に必要な考え・対話について議論し、相互理解と交流を深めました。
プログラム
•10:00-10:15 開会の挨拶・領域会議趣旨説明(笠井先生)
•10:15-12:00 計画班・ 公募班ポスター発表
•12:00-13:30 昼休憩・計画研究の原稿比較
•13:30-14:00 グループワーク・レクチャー
「わかりやすさとは何か:共同創造に向けて」(西田先生・山崎先生)
•14:00-15:30 グループワーク「わかりやすさとは何か:共同創造に向けて」
•15:40-16:40 グループワーク発表
•16:40-17:00 活動報告・告知・領域評価の先生や学術調査官の先生・
領域代表から一言
•17:00- 若手の会(任意参加)
日時 2022年10月2日(日) 9:30-16:00
形式 対面
公募研究の研究者をお迎えし、あらためて当事者化モデルについて、領域代表からお話し、各計画・公募研究の進捗について発表・議論を行いました。研究者の当事者化や、当事者の方々との共同研究の推進のために、当事者研究総論のご講演の後、班内連携や他班との連携を含めた議論を行い、交流を深めました。
プログラム
•09:30-09:50 現在の当事者化モデルについて(笠井先生)
•10:00-11:50 各計画・公募研究の進捗 ポスター発表と議論
•13:00-13:40 当事者研究総論・実際の葛藤(熊谷先生・綾屋先生)
•13:50-15:10 グループワーク・当事者研究のご講演を踏まえての議論
コラボレーションのアイデア・研究背景の個人史・
領域やプロジェクトに対する意見・研究の困りごと、課題
15:20-16:00 まとめ発表・領域評価の先生や学術調査官の先生、
領域代表から一言
日時 2022年4月3日(日) 9:00-18:30
形式 オンライン
A01-03、B01-02各代表が研究の進捗について発表した後、若手研究者がコメンテーターとしてコメントし、別の領域の各代表が議論の流れを記しながら、各領域において、班内連携や他班との連携について議論を深めました。
プログラム
午前
■X00 当事者化行動科学に向けた学術の対象・方法変革~学術者の当事者化と研究の共同創造~
・外谷弦太 若手の会の進捗について
・綾屋紗月 当事者視点からの学術変革について
・金原明子 疾患の学術研究テーマの優先順位決定の共同創造プロセスについて
・柳下 祥 領域会議に関する分野横断の理解・議論の素地づくりとしての文章化や再編の進め方について
・笠井清登 学術変革セミナーの進め方について
■B01 当事者化の過程における法則性/物語性の解明と共同創造の行動基盤解明
・熊谷晋一郎
・綾屋紗月
・外谷弦太
・B01班内連携や、B01班全体の方向、他班との連携について
■B02 当事者化の過程における法則性/物語性の脳基盤解明
・柳下 祥
・植松 朗
・多田 真理子
・B02班内連携や、B02班全体の方向、他班との連携について
■講評①(領域評価者、学術調査官の先生方)
午後
■A03 個体脳ー世界相互作用ループの時代・世代・ジェンダー影響の解明
・笠井清登
A03-B02連携による、トラウマと都市化が脳発達に与える影響のヒトー動物トランスレーショナル研究
A03-A02連携による、親子のケア関係と子の脳発達の関係の研究
・北中淳子
・澁谷智子
・A03班内連携や、A03班全体の方向、他班との連携について
■A02 大集団科学による個体ー世界相互作用に基づく人間の当事者化のリアルワールド実証
・西田淳志
・永澤美保
・村井俊哉
・A02班内連携や、A02班全体の方向、他班との連携について
■A01 大集団脳科学による個体脳ー世界相互作用に基づく人間の当事者化の脳行動モデル構築
・田中沙織
・中村優子
・松井彰彦
・A01班内連携や、A01班全体の方向、他班との連携について
■当事者化の概念アップデートについて(村井俊哉先生から話題提供)
■班間連携研究の今後の展開について
■講評②(領域評価者、学術調査官の先生方)
日時 2021年12月5日(日) 12:00-13:00
形式 オンライン
A01-03、B01-02各代表より研究説明が行われました。各班それぞれ研究の進捗状況について盛んな議論がなされました。
学術変革領域A 当事者化行動科学 キックオフシンポジウム&公募研究説明会
日時 2021年12月5日(日) 9:00-11:50
形式 オンライン
【式次第】
領域概要と総括班活動説明 笠井清登
A01 計画研究「相互作用ループ、脳モデル構築」 田中沙織
A02 計画研究「相互作用ループ、リアルワールド実証」 西田淳志
A03 計画研究「相互作用ループ、時代・世代・ジェンダー」 笠井清登
B01 計画研究「法則性/物語性、当事者化行動基盤」 熊谷晋一郎
B02 計画研究「法則性/物語性、当事者化脳基盤」 柳下祥
・公募研究説明・質疑応答
2021年12月5日、オンラインにて、学術変革領域A 「当事者化行動科学」のキックオフシンポジウム・公募研究説明会を開催いたしました。全国から約80名の方にご参加いただきました。最初に、笠井清登・領域代表より領域の概要について説明があり、本領域が目指す方向性についての講演がありました。続いて、計画研究代表者の笠井清登(A03・東京大学)、田中沙織(A01・株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR))、西田淳志(A02・公益財団法人東京都医学総合研究所)、熊谷晋一郎(B01・東京大学)、柳下祥(B02・東京大学)より、各計画研究の概要についての講演を行いました。その後、公募研究についての概要説明と参加者の方々からの質疑応答を行いました。
日時 2022年10月23日(日)東京大学
思春期前期の児童・生徒を対象に、思春期の脳とこころの発達と多様性についてアクティブに体験的に学んでいただくことを目的としました。受講生に脳機能を評価する手法であるmagnetic resonance imaging (MRI)について理解してもらい、こころの健康をどのように客観的に調べるか体験してもらいました。さらには、脳とこころは社会と相互作用しており、障害(しょうがい)とは、少数派の個人の身体や脳側のみにあるのではなく、それらと、多数派向けにデザインされた社会環境側がうまくマッチしない状況、つまり個人と社会の間に存在するという、障害の社会モデルについて学びました。
当日のスケジュール
13:30~13:40 開講式
13:40~14:00 思春期のこころの発達と健康の解説講義(「思春期のこころの発達と健康」)
14:10~15:00 グループに分かれ、脳機能検査体験実習(MRI 練習機)
15:10~15:40 多様性と包摂についての講義(「だれひとり取り残さない社会とは?ダイバーシティについて学ぶ」)
15:40~16:25 多様性と包摂についてのグループディスカッション
16:35~17:05 修了式(感想、アンケート作成、未来博士号授与)
実施の様子
当日は、小中学生17人と一部に保護者・同伴者、スタッフが参加しました。
「こころの健康講義」では、・悩みや不安はだれにでもあること・悩みや大きなストレスを抱えすぎると、こころやからだに不調のサインがでることがあること・自分で感じる不調のサインと自分でできること、相談先・周りが感じる不調のサイン、周りの人ができること、というテーマを取り上げました。その後、実習形式でMRI模擬機を体験してもらう実習を行いました。「多様性と包摂についての講義」では・多様性と包摂・障害の社会モデルについて、小中学生にもわかりやすい例示を用いて概説し、「自分が他の人と違うなと思うところ」「自分がもっと生きやすくなるためには、環境がどう変わると良いか?」について、グループディスカッションを行いました。